人前で話すとき、緊張して声が震えてしまった経験はないでしょうか。
学生であれば朝礼や授業での本読み、社会人ならプレゼンや打合せなど、人前で話す機会はたくさんあります。
そんなときに、声が震えて堂々と話せなかったという苦い思い出のある方も多いかもしれません。
なぜ緊張すると声が震えるのでしょうか。
今回は、人前で話すときに声が震える原因と、改善方法についてご紹介します。
目次
人前で話すときに声が震える原因

人前で話すときにいつも緊張して声が震えてしまい、「どうしてうまく話せないんだろう…」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
まずは、人前で話すときに声が震える原因について見ていきます。
人前で話すことに対する苦手意識や不安があるから
声が震えてしまう人は、人前で話すことに対する苦手意識や不安を持っていることが多いです。過去に人前で恥ずかしい思いをした経験から、そのような苦手意識を持つようになってしまうケースがよく見られます。
また、絶対に失敗したくないという完璧主義な人も、自らに余計なプレッシャーをかけてしまい不安を増長させてしまうことがあるようです。
病気の可能性も
あまりに強い不安や恐怖を感じる場合は、社会不安障害という病気の可能性もあります。
社会不安障害の発症の原因はまだはっきりとわかってはいませんが、ひとつの説として、精神を安定させるセロトニンという神経伝達物質などのバランスが乱れるせいではないか言われています。
人前で話すことへの強い不安は、自分の性格ではなく病気のせいということもあるので、心配な方は抱え込まずに心療内科などの病院で受診してみることもおすすめします。
プロスペクト理論
「プロスペクト理論」が関係しているとも考えられます。
プロスペクト理論とは、簡単に言うと「人は損失を目の前にすると利益よりもそのリスクを避ける傾向がある」という理論のことです。
人前で話す場合、じっくりと考える時間はほとんどありません。
その中で、うまく話したい・成功させたいという「利益」よりも失敗したくないという「リスク回避」の気持ちが強くなって、徐々に焦りに変わってしまい、声が震えてしまうのではないでしょうか。
人前で話すときに緊張したり、苦手意識を持っていたりすると、体が以下のような状態になり、声が震えてしまう可能性が高くなります。
呼吸が浅くなる・息が引っ込んでしまう
緊張すると、肩などに力が入り、腹式呼吸ではなく胸式呼吸になってしまいます。すると呼吸が浅くなって息をたっぷり吸うことができず、声(息)が不安定な状態になってしまうのです。
また、呼吸が浅くなったことで体が危険を感じ、交感神経が優位に立ちます。
そのため、声が震えるのをはじめ、心臓がどきどきしたり、喉が渇いたり、冷や汗をかいたりといった体の反応が起きるのです。
人前で話すときに声が震えるのを改善する方法

ここまで、人前で話すときに声が震える原因をご説明してきましたが、どのようにして声の震えを改善すれば良いのでしょうか。
精神を安定させる薬を服用する手段もありますが、それでは人前で話すことへの苦手意識を解消する根本的な解決策とは言えません。
以下の方法は、人前で話すときに意識することで不安を和らげ、声の震えを抑えやすくします。
なかなかすぐにはできないかもしれませんが、少しずつ意識してみましょう。
腹式呼吸を用いて話す

人前で話すときには、腹式呼吸を用いることを意識してみましょう。
腹式呼吸とは、息を吸ったときにお腹が膨らみ、吐いたときにしぼむ呼吸方法で、歌うときに意識する方が多いと思います。
この腹式呼吸には、副交感神経を優位に働かせる効果があるため、リラックスして緊張などを和らげやすくなります。
緊張や不安によって声が震えるという根本原因に対してアプローチできる改善方法と言えるでしょう。
また、腹式呼吸で息の流れが安定するため、声が震えにくくなります。
話すときは息をしっかり吐いて、1m以上先にいる人に届けるように声を出すのがポイントです。
腹式呼吸の具体的なやり方は、「腹式呼吸の具体的なやり方!2つのコツで誰でも簡単にできる」をご覧ください。
いつもより低い声で話す

普段出している声よりも低いトーンで話してみるのも効果的です。
低い声は、高い声を出すときと比べて息の速度がゆっくりになり、落ち着いた印象を相手に与えられます。
また、吐く息の量を一定に保ちやすくなるため、声の震えが出にくくなるでしょう。
このとき、少し顔を上げておくと、声が胸に共鳴しやすくなり厚みが生まれるため、声の震えがさらにわかりにくくなります。
ただし、喉や肩に力が入っていないことが条件なので、注意してください。
一文は短めに。話す速度を少しゆっくりめにする

人前で話すとき、一文(一息で読む文章量)は少なめにすると良いでしょう。
声優志望の方たちを教えていた経験から感じたことですが、一文を長くしてしまうと、話す速度が速くなりやすい傾向にあります。
そうすると、息を吐く量にバラつきが出やすくなるため、結果的に声が震えているように思われてしまうことがあります。
そのようなことを避けるために、一文は少なめにして、話す速度を少しゆっくりめにしてみましょう。
ひと息つける間が増えるので、気持ちや呼吸を落ち着かせるのにもおすすめです。
緊張による声の震えだけでなく、怒ったり泣いたりして声が震えてしまうケースにも効果があるでしょう。