ゴスペルは、17〜19世紀にアフリカから奴隷制度によって、アメリカ大陸に連れてこられた人たちから生まれました。
アフリカの音楽は豊かな、そして多種多様で複雑なリズムが溢れています。ゴスペルの音楽もそのうちの1つです。
目次
ゴスペルの発声について

ゴスペルは、英語の発音、特に母音を意識して腹式呼吸で歌います。
他には、ゴスペルの楽曲には英語の歌詞が多い、楽譜が読めなくても問題はないという特徴があります。
理由の1つとして、Call and Response(前者の問いかけに続いて繰り返す)という歌唱法が挙げられます。聖歌隊などでゴスペル合唱をする場合は、リードボーカルに続いて、同じ歌詞を歌う方法がよく用いられています。

基本的に、パート毎に割り振られることが多いので、それぞれに適した音域で歌います。ちなみに、リードボーカルを担う指揮者のことをゴスペルディレクターと呼びます。
その他に、ソロパートやクラップ(手拍子)、ステップなど、体を動かす振り、アドリブを入れる自由さがあるのも特徴的です。
ゴスペルは黒人奴隷制の時代に、自分たち(労働者)を鼓舞し前を向く為に歌ったものが起源です。時代背景なども理解しながら歌うと、より感情豊かな歌になるでしょう。
ゴスペルの参考曲
Gospel(ゴスペル)とは「GOD SPELL」神の言葉という意味です。
具体的には、イエス・キリストがもたらす、救いとその喜び「神様からの良い知らせ」という意味があります。
映画「天使にラブソング」で歌われるブラック・ゴスペルは参考になります。
手拍子をして、体全体を動かして思いっきり楽しく歌っているのが、わかります。
ゴスペル発声の特徴

ゴスペルでは、「声量豊かで、太く通る声」で発声します。
腹筋を使い、息の速さに重点をおくのが特徴。体の共鳴を重点におくクラシック声楽のベル・カント声楽とはまったく異なるものとなります。
基本的な発声方法は歌のジャンル関係なく同じです。
土台には整えられた楽器である身体があり、安定した呼吸が送り込まれ、バランスのよい声帯振動があり、豊かな共鳴が起こり、声となります。
ゴスペル発声習得のためのトレーニング

ゴスペル発声を習得するためにおすすめのトレーニングをご紹介します。
リズム
「リズムに合わせて歌う」ことも大切ですが、「曲のリズムを感じながら歌う」ことも重要です。自分の声を聞くことに意識を置き、曲全体はふんわり聞きながら歌う方も多いのではないでしょうか。これでは、淡々とした歌という印象を与えてしまいます。
曲と歌にグルーヴ感を生み出すためにも、リズム隊(ベースとドラム)の演奏を聞くクセをつけると良いでしょう。特にドラムを聞いてみてください。
シンバルやスネアドラムがどんな風にリズムを刻んでいるか意識することで曲ごとのノリを理解できるようになり、グルーヴ感のある歌が歌えるようになります。

また、日頃からリズム練習をしてみると良いでしょう。以下のトレーニングがおすすめです。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。
・メトロノームを使ってリズムをとる練習
・頭ではなく体(みぞおち)でリズムをとる練習
ブレス

ブレスのトレーニングを行うことには、以下のメリットが挙げられます。
- 1息で長いフレーズが歌えるようになる
- 声量がつく
- インナーマッスルのトレーニングにもつながる
ゴスペルに限らず、歌を歌う方にはぜひとも取り入れていただきたいところです。おすすめのトレーニングは以下の通りです。
- 「はっはっはっ」と息を吐く練習(ドッグブレス)
- ロングブレス(まずは30〜40秒息を吐き続ける)
- エッジボイスで朗読をする
地声

地声のトレーニングは、歌うときの体の使い方など基本的なことを学ぶために役立ちます。
【学べること】
・体の力を抜いて歌う
・上半身や下半身の使い方(姿勢)を知る
・顔、特にあご周りの力を抜く
・口角を上げて歌う
・母音の使い方
・息の流し方
詳しいトレーニング方法については以下のリンクをご覧ください。
ファルセット
ファルセットを出すとき、「輪状甲状筋」という声帯の動きを支える筋肉が働きます。輪状甲状筋を鍛えると、ミックスボイスの上達や音程をとる力が身につきますから、地声だけでなくファルセットもあわせて練習しましょう。