地声(じごえ)は、二つの意味で使われている言葉です。ひとつは、普段話をするときの声。もうひとつは、歌における声区や声の種類を表しています。
具体的には、低音の響きが美しい“胸声”やミックスボイスやファルセットなどの声は除き、楽に出せる高さの声をいいます。中には、喉声のことを地声というケースもあります。
目次
地声と裏声の違い|使っている筋肉が違う
地声と裏声の違いとは何でしょうか。それは、発声するときの筋肉の働きです。
地声は、声帯筋(内側甲状披裂筋の先で声帯靭帯と接するところ)と呼ばれる筋肉が働きます。
一方、裏声は輪状甲状筋と呼ばれる筋肉が働きます。
働く筋肉の違いにより、声帯の振動の仕方に違いが生まれるのです。地声は声唇と声帯靭帯(せいたいじんたい)が振動します。
裏声は声帯靭帯のみが振動するため声に大きな違いが出るのです。
※赤丸の枠内の部分は声唇
※青線の部分は声帯靭帯
関連記事:裏声を鍛えるための練習方法|簡単トレーニングで声量もアップ?!
地声の出し方
地声の出し方について確認していきましょう。
体の脱力からスタート
まずは体の力を抜くことから始めましょう
手をブラブラさせたり、「ふぅ」と息を吐いたりするなどして体の力を抜いてみてください。体の力を抜くと声量が上がりやすくなるだけでなく、高音が出しやすくなるというメリットもあります。
「お腹痛い」のポーズで腰の凹みをなくす
人の上半身は、S字を描くようにして腰が凹んでいます。
この凹みをなくす姿勢を作り上半身のラインをまっすぐにすることで、息が綺麗に流れるため結果的に声量を上げられます。
上半身のS字ラインをまっすぐにする姿勢。それが、お腹が痛いのポーズです。
「お腹が痛い」ときのポーズをしてみてください。腰の凹みがなくなり、まっすぐとした上半身の姿勢が完成します。
おへそを中心にお腹を折るイメージ
もし、お腹が痛いときのポーズでイメージが湧かない方は、おへそを中心にしてお腹を折るように姿勢を整えてみましょう。
肩を内側に軽く入れて“声の芯”を作る
最後に、肩を軽く内側に入れてみましょう。イメージは寒いときのポーズです。
このポーズをやるときは、写真よりも腕を少し前に出すのがポイントです。肩を少し内側にいれることで声に厚みができるため、声量のある歌声・話声に変わります。
引用:https://ennuirockmusic.jp/columns/32/
発声するときは、鼻骨に声を当てるイメージを持ちましょう。よくわからないという方は、鼻骨を軽くつまむようにしながら発声してみてください。
地声なのかわからないときの確認方法
「今出している声が地声なのかわからない…」
そのようなときは、手を胸に当てて軽く皮膚を下に引っ張るようにしながら「アー」と発声してみてください。
手を当てている部分が軽く振動している感覚が得られるかと思います。これが地声を発声している状態です。
もし、わかりにくいと感じたときはラ(A3)〜レ(D4)あたりのキーで発声してみるといいでしょう。
地声を鍛えるにはどうすればいいの?
地声を鍛えるには、腹式呼吸をマスターして息をたっぷり使って歌えるようになること、声帯筋を鍛えることが必要です。
息を「吸う」のではなく「吐く」ことから始める
腹式呼吸のやり方。まず始めに息を「吸う」のではなく、肺の中に入っている息を全て「吐く」ことから始めます。肺の中を空っぽにして、息をたくさん吸えるように体を整えるのです。
ポイント:息を吐くときはシャボン玉を飛ばすイメージで
息を上手に吐くときのコツは、シャボン玉を飛ばすイメージを持つことです。「フゥー」と優しく息を吐き出してみましょう。すると、お腹が少しずつ凹んでいくのが実感できます。
息を吐き続け、「これ以上吐き出せない」という状態までお腹が凹んだらOKです。
息を鼻からゆっくり吸う
肺の中に入っていた息を吐き出したら、次は息を吸いましょう。鼻からゆっくりと息を吸います。このとき、“自分の鼻の近くにある息”を吸うイメージを持つと腹式呼吸になりやすくなるのでおすすめです。
イメージがわかない人は
ピンと来ない人は、両手を自分の鼻の前に持ってきて手の上にある息を優しく吸ってみると良いかもしれません。
息を吸ったら、もう一度シャボン玉を飛ばすイメージで「フゥー」と息を吐きだす……。繰り返していくうちに自然に腹式呼吸ができるようになります。
ポイント:息は目一杯吸わない!腹八分目を心がける
息を吸うときのポイントは、息を目一杯吸わないことです。中には、息を限界まで吸おうとしてしまい、胸式呼吸になってしまう人も……。
せっかく途中まで綺麗に腹式呼吸ができていたのに、もったいないことです。息を吸うときは、まだ少し余裕があるかなと感じられる“腹八分目”までに留めてください。
引用:https://ennuirockmusic.jp/columns/13/
声帯筋を鍛えるには、先ほどお伝えした「地声の出し方」を元にラ(A3)〜レ(D4)あたりのキーで「ホー」と発声してみましょう。
このとき、おむすびを持つような手を胸の前に作り、「ホー」と発声しながら手を上下に離すように広げる仕草をつけてみてください。効率よく鍛えられるようになるのでおすすめです。