2016年1月10日、69歳で亡くなった世界的ミュージシャンDavid Bowie。グラム・ロックの先駆者として活躍したことはもちろん、役者、音楽プロデューサーとしても有名です。
【連載コラム】第二弾は、イギリスのロックスター“David Bowie”の声の形について見ていこうと思います。
※このコラムは個人的な観点の元で書いています。あらかじめ、ご了承ください。
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目次
David Bowieの声の形は“たまご”
David Bowieの声はどんな形をしているのでしょうか。実は、たまごのような形をしています。
前回ご紹介したRadioheadトム・ヨークとは声の形が全く異なり、縦に伸びているのが特長です。David Bowieは比較的、声に芯があります。これは、声の形が縦に伸びていることが要因なのです。
口から声はどのように出ている?
David Bowieの声はたまごのように縦に長いのが特長ですが、口からどのように出ているのでしょうか。画像で表すと下記のような感じです。
David Bowieはフレーズによって口を大きく開けて歌うときがありますが、そのような場合でも綺麗なたまご型をキープして歌っています。
David Bowieが生歌でも声が裏返らない理由
Life On Mars?という曲の0:59〜からご覧ください。口を大きく開けて歌っています。人によっては、口を大きく開けて高いキーの歌を歌うと声が裏返りやすくなります。
しかし、David Bowieはライブ動画を見ても声が裏返っているケースが少ないのです。一体なぜでしょう。
アヒル口で歌っているから
リンクの動画をご覧ください。上唇がアヒルのようにつき出ていることが分かります。実は、口の形をアヒルのようにつき出して歌うと声帯が綺麗に閉じるため、声が裏返りにくくなるのです。
David Bowieがもし「い」の口で歌っていたら
もしDavid Bowieがアヒル口ではなく、「いー」と口が横に広がったような状態で歌っていたら、ライブ中に声が裏返っていたかもしれません。
David Bowieの歌声からその他の特徴を見る
David Bowieの歌声からその他どんな特徴が見られるのでしょうか。
1.突き抜けるというよりも少しウェットな声
基本的にあごを下げながら歌っています。そのため、突き抜けていくというよりも、少しこもったような声をしています。
本来、ボーカルトレーニングでは、あごを下げるのではなく、軟口蓋(なんこうがい)を上げて口の中に空洞を作るように歌えと教えるのがポピュラーです。
彼の個性に繋がっている
しかし、あごを下げて歌うスタイルが聴衆にウェットな印象を与え、結果として彼の個性に繋がっているような気がします。
2.声に“色気”がある
David Bowieの声は縦に長く幅がないため儚い印象を与えます。しかし肩に力が入り声が力むため、そのギャップが色気となり、彼の中性的な魅力へと繋がっているのではないでしょうか。
David Bowieの歌声は個性が溢れている
David Bowieの歌声はいい意味で、ボーカルトレーニングでガチガチに固められてしまったような堅苦しさがありません。
一回聞けば耳に残るような個性を持っている歌声と言えるでしょう。個人的にですが、ただ上手い歌声よりも、その人ならではの思想や感情などが全面に出ている方が魅力に感じます。
David Bowieをまだ知らない方も、一度彼の歌声を聞いたら虜になってしまうかもしれません。