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滑舌(かつぜつ)とは、舌の動きを滑らかにしてはっきりと聞き取りやすい発音をしている状態のことです。元々、俳優やアナウンサーなど声を仕事にしている人たちの専門用語だったものが、世間に広がったと言われています。
一般的には、言葉の発音がはっきりとしていて聞き取りやすい人のことを『発音が良い』、逆に発音があいまいで聞き取りづらい人のことを『滑舌が悪い』と呼んでいます。(舌足らずと呼ぶ人もいます)
中には、“活舌”と記載する方もいますが、発声を意味するとして使われている“かつぜつ”は滑舌です。
滑舌が悪いと、歌や会話でも何を言っているのか分からないと思われてしまうため、自分の思いや意見がストーレートに伝わらないというデメリットがあります。実際、何度も聞き返されてしまうという人も少なくありません。
また、東京大学高齢社会総合研究機構の研究によると、滑舌を含む口腔機能(舌圧:ぜつあつ(舌の力)、咬合力:こうごうりょく(噛みしめる力))が衰えると死亡率が2.09倍にもなることが分かっています。(参照元:PRESIDENT Online)
そこで今回は、滑舌が悪い原因と誰でも簡単にできる滑舌を良くする練習方法についてまとめました。
目次
滑舌(かつぜつ)が悪い原因とは?
滑舌が悪い原因はひとつだけではありません。いくつかの理由が考えられます。
人によって滑舌が悪い原因は異なりますから、滑舌を直すためには、まず自分の滑舌が悪い原因を知った上で適切な対処法を実践していくことが大切です。
1.舌や顔の筋肉が発達していない
滑舌が悪い主な原因として考えられるのは、舌の筋肉が発達していないことです。舌を滑らかに動かすための筋肉が少ないため、はっきりとした発音ができないのです。
例えば、サ行やタ行、ラ行が上手く言えない方は、舌の筋肉を鍛えれば滑舌を改善できる可能性が高いと言えます。
ボソボソしたような話し方になってしまう場合は、口を大きく開けられるよう顔の筋肉を鍛えてあげれば滑舌を改善できる可能性が高いでしょう。
関連記事:舌根とは?発声で舌を下げる方法と効果、舌根を鍛えるボイストレーニング
英語の発音をするときに滑舌(かつぜつ)が悪いという場合も
英語を話すときに滑舌が悪いと悩まれている人も少なくないでしょう。例えば“r”の発音です。
英語のrは、舌の奥を引き上げるようにして発音(硬口蓋の奥に近づけるように上げる)します。しかし、日本語の発音では舌の奥を引き上げるようにする言葉はありません。
英語は、日本語では使わない舌の動きを使うことがあるため、思うように発音できず苦戦してしまうのです。
2.呼吸の仕方や姿勢が悪い
口呼吸の方は、普通の人よりも口を閉じる力が弱まっています。実際、それが原因で滑舌が悪くなってしまう人も少なくありません。
他にも、
- 呼吸が浅いためボソボソしたような発音になり、滑舌が悪いと思われてしまう
- 姿勢が悪いことで声が体に共鳴せず、こもったような声になってしまうことで滑舌が悪いと思われてしまう
ケースがあります。
3.早口など話し方に特徴がある
早口や話し方に抑揚がない場合も滑舌が悪いと思われてしまう原因に挙げられます。この場合は、呼吸法や抑揚のつけ方などを身につけることで改善できる可能性が高いでしょう。
中には、人前で話したり歌ったりするのが苦手なため緊張してしまい、こもったりつっかかったりしたような発音になってしまうことで滑舌が悪いと思われてしまうケースもあります。
うつ病を発症することで滑舌が悪くなる人も
中には、うつ病を発症したために声の張りがなくなる、滑舌が悪くなるといったケースもあります。
4.舌小帯短縮症
舌小帯短縮症(ぜっしょうたいたんしゅくしょう)とは、舌の裏にあるスジのようなもの(舌小帯)が生まれつき短い、または舌の先端の方についている状態のことです。
舌小帯短縮症の方は、舌が思うように動かせない、発音がしにくいといった特徴があります。長年、滑舌が悪いと悩まれている方やラ行の発音が苦手な方は、もしかすると舌小帯短縮症かもしれません。
滑舌(かつぜつ)を良くするメリット
滑舌を良くすることで得られるはメリット主に3つあります。
例えば、
- 伝えたいことがしっかり相手に伝わる
- 歌や会話に自身が持てる
- 表情豊かになるため印象が良くなる
といったことが挙げられます。
具体的に滑舌(かつぜつ)が良い状態とは?
滑舌が良いとは具体的にどのような状態なのでしょうか。基本的には3つの状態が保てるようであれば、滑舌が良いと判断できます。
- あいうえお、ひとつひとつの音がしっかりと聞き取れること
- 言葉がつまる、噛んでしまうことがない
- 一定のテンポを保ちながら発音ができる
滑舌(かつぜつ)を良くするトレーニング方法
ここで滑舌を良くするためのトレーニング方法について確認していきましょう。
1.舌の筋肉を鍛える
舌の筋肉を鍛えましょう! これは、滑舌が悪い原因の種類を問わずトレーニングのひとつとして取り入れることをオススメします。
例えば、
- 舌を思い切り出してから引っ込めるトレーニング(1日20回)
- 舌の先で左右の奥歯を交互にさわるトレーニング(1日20回)
- 舌の先で上あごを前後に力強く舐めるトレーニング(1日30回)
続けてみてください。「さしすせそ」が滑らかに発音できるようになったなど、改善効果を実感できるでしょう。
その他の詳しいトレーニング方法は、下記リンクの記事でご紹介しています。
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2.表情筋を鍛えて滑舌を改善!割り箸トレーニング
割り箸(割っていないもの)を2セット用意してください。
それから、左右の奥歯それぞれに割り箸の太い方をおいてから噛みます。割り箸の細い方がななめ下に向くように位置を調整してください。(正面から見たとき漢字の“八”になっているように)
割り箸を奥歯で挟んだら、「さしすせそ」「たちつてと」「らりるれろ」を5まわし続けて発声しましょう。
このトレーニングは実践中にたくさんの唾液が溜まりますので、あらかじめ注意してください。
3.母音を強調しながら発声する
言葉のひとつひとつをはっきり発音するために、母音を強調しながら発声するトレーニングがあります。
例えば、「さようなら」と発声する場合、「さぁよぉうなぁらぁ」と母音を強調してみてください。
人前で話すのは緊張してしまう、話し方に抑揚がないことなどが原因で滑舌が悪いと言われる場合にオススメです。
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4.リズムを取り入れながらの発声トレーニング
早口になってしまう、話し方に抑揚がないために滑舌が悪いと思われてしまう方は、リズム練習を取り入れると良いでしょう。
基本的にリズムはみぞおちでとるのですが、慣れていない場合は習得に時間がかかります。まずは曲に合わせて一定間隔で膝を落としながら発声するトレーニングを取り入れてみてください。
曲に合わせてリズムを取りながら歌ってみるといいかもしれません。
練習を続けていくうちに、歌だけでなく会話でもテンポよく発声できるようになるため滑舌の改善に役立ちます。詳しい練習方法は、下記の詳細記事でご紹介しています。
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5.姿勢を正す、腹式呼吸を取り入れてリラックスする
正しい姿勢で腹式呼吸を取り入れながら歌う、または話すことを心がけることで精神的に落ち着いた状態で話せるようになるため、結果的に滑舌の改善に役立ちます。
具体的なトレーニング方法は、詳細記事でお伝えしていますのでそちらをご覧ください。
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実は、手術で滑舌(かつぜつ)を治す方法もある
舌小帯短縮症などの方は、滑舌を治すため舌の裏側にある舌小帯というスジを切る手術に踏み切ることも多いと言われています。しかし、この手術はあくまでも、舌小帯を切ることで舌の可動域を広げるのが目的です。
手術によって滑舌が良くなったように感じる方もいますが、根本的に治すためには、舌の筋肉を鍛えるなどの滑舌改善トレーニングもしっかり行うことが大切です。
滑舌改善に役立つボイトレグッズ(ツール)!
Be-Vo (ビーボ)
Be-Voは口内筋を鍛えるためのグッズです。口内筋を始めとした普段使わない声帯周りの舌の筋肉が鍛えられ喉が開かれるので結果、正しい発声方法が身につくので、高音が出やすくなるだけでなく美声になります。
また滑舌が鍛えられたりもします。
特徴
- 発声が綺麗になり、声が遠くまで響くようになる
- 大きな声を出しても喉が痛くなくなる
- ビブラートがききやすくなる
- 滑舌がよくなる
使用方法
両方の奥歯で噛みしめると顎が固定されるので、そのまま発声することで口内筋や舌などが鍛えられる仕組みです。
大体1日、5分程度の使用が目安です。
ウタエット ウルトラボイス
喉の開きを支えるためのマウスピースみたいなボイトレグッズです。発声が安定し、音域が広くなるるので、結果的に音程が整いやすくなります。
特徴
- 喉が開きやすくなる(発声が整う)
- 舌の筋肉や発声の筋肉が鍛えられる
- 腹式呼吸が身につきやすくなる
使用方法
口にくわえながら発声の練習をします。正しい姿勢でやると効果的です。詳しくは商品ページを参考にしてください。
まとめ
滑舌を改善するためには、根本的な原因を知った上で適切なトレーニング方法を取り入れることが大切です。
例えば、人前で話すのが苦手なため早口になったり声がこもってしまう方と、舌の筋肉が発達していないことが原因で滑舌が悪い方ではトレーニングの進め方が異なります。
まずは、滑舌が悪い原因をさぐってみた上でトレーニングを始めてみることをオススメします!