ファンク(funk)とは1960年代に、ジェームス・ブラウンが主体となって完成させた音楽のこと。リズム&ブルース、ソウルの新しいスタイルを特徴としています。
基本的に、極めて単純なコード進行でずっと繰り返し、16ビートが基調となり、シンコペーションを多用しています。
ファンク(funk)は英語の「ぞっとする」「おじけづく」ではなく、コンゴ語のルフキ(lu-fuki)に由来していて、演奏やなにかを「うまくやってのけた」ときの汗や体臭をたたえる言葉です。
その音楽は反復する低音部の音形、小節の第二、第四拍で激しく強調するドラムズ(手拍子にならってハイハットシンバルがこれらの拍子で閉じられ、鋭い音をたてる)、明快なメロディーと単純にしたハーモニーを特徴とします。
結果としてはリズムアンドブルースよるもゴスペル音楽寄りのサウンドです。
目次
ファンクとその他の音楽の違い
ファンクとその他の音楽の違いを解説します。
ジャズ
ジャズ(jazz)は1900年初期、アメリカの奴隷制度から解放された黒人によって作られた音楽です。気持ちの良い4ビートのグルーヴと金管楽器との絡みが特徴的です。
ジャズが誕生したのは南北戦争の直後と言われています。
軍隊でいらなくなった楽器を安く買い集めて、解放された黒人達は歌うかわりにブルースやスピリチャルを演奏し始めたのでした。
楽器を手にした黒人達はニューオーリンズのストーリービルの酒場で演奏すれば、いい稼ぎになりことを知りました。
第一次世界大戦の開幕とともにニューオーリンズは軍港になり、娼家は閉鎖され(1917)、職場をなくしたバンドマンはぞくぞくシカゴへ移動しました。
シカゴでは黒人を真似た白人のジャズバンドが無数に誕生し、シカゴスタイルが育つにしたがって、ジャズは南部の黒人の手から、アメリカ人全部のものに広がりました。
シカゴの若い白人の代表者はビックス・バインダーベックで、ディキシースタイルの絶頂期を築きあげたが、ベニー・グッドマンの登場とともにジャズは大転換をとげて、1930年代のいわゆるスイング時代を迎えます。
ベニー・グッドマン、トミー・ドーシー、ハリー・ジェームスの3楽団がこの時代の代表者たちです。彼らの公演は大騒ぎで迎えられたものでした。
ラグライムの大流行は20世紀のはじまりを告げ、第一次世界大戦を中心にジャズの全盛時代への道を開きます。そして、30年代にはスイングの黄金時代がやってきました。
関連記事:ジャズの種類について
フュージョン
1970年代の後半に入るとグローヴァー・ワシントン・ジュニア、アール・クルー、ジョージ・ベンスン、チャック・マンジョーネらのミュージシャンがフュージョンという音楽を手がけるようになりました。
耳あたりのいいスムースジャズがこの名称を受けついでいて、単純で直情型のポップな器楽形式をとっています。
ストリート・アヘッドジャズつまりはわかりやすい簡略な表現で興奮を生みつづけるジャズの代名詞だったミュージシャンたちが演奏しました。
同じ系統にはイエロー・ジャケッツ、スパイロ・ジャイラ、ザ・リッピントンズがあって、編曲に意をつくし、シンセシザーのつくるメロディーをグランド・ベース(固執低音、低音部で反復される楽句)の上に乗せたり、即興をほとんど交えないで楽器の腕前を誇示したりしています。
スムースジャズとかライトジャズ、コンテンポラリージャズと呼ばれるジャズはラジオ番組の音楽ジャンルのひとつからフュージョンを発展させて、明快なリズムと平明なメロディーの音楽で旧来のイージーリスインングでの中心のラジオ局を今風に変えました。
フュージョンの最初の世代は「トラディショナル(ふつうの)」ジャズと言い、ラジオのDJはこれをスムースジャズと呼びました。
ソウル
ソウル(soul)とは「魂」のあるミュージックの意味です。黒人ブルースから生まれたリズム&ブルースは、ソウルミュージックとロックンロールを生みました。
リズム&ブルースは1960年代に入って、それまでの泥臭さがやや弱まり、ゴスペルを基調としたソウルミュージックへと進化。
基本的に、ソウル、ソウルミュージックは1950年代から1960年代の初期にかけて発展した音楽です。時が経つにつれ、リズム&ブルースが広範囲にわたって発展したスタイルをソウルミュージックと呼ぶようになりました。
関連して、リズム&ブルース(R&B)は1940年代のニューヨーク、黒人音楽です。ジャズやブルース、ゴスペルから始まって大衆に向けたポピュラー音楽へと発展しました。
ファンクのおすすめアーティスト

James Brown - Cold Sweat|洋楽
ジェームス・ブラウンは“Minister of the New New Super Heavy Funk(ニュー・ニュー・スーパー・ヘヴィー・ファンク大使)”を自称し、ファンク・ミュージックを大衆に広めました。
強烈なビートと、魅力的な長尺グルーヴが印象的です。ジェームス・ブラウンは1967年の「Cold Sweat」でファンクの境地に達しました。
Brothers Johnson – Get The Funk Out Ma Face|洋楽
ブラザーズ・ジョンソンはロサンゼルス出身のジョージとルイスから成ります。プロデューサーはクインシー・ジョーンズです。エネルギッシュなファンク楽曲です。
Stevie Wonder - Superstition|洋楽
1970年代の「Stevie Wonder (スティービー・ワンダー)」の代表曲『Superstition』です。聴衆を圧倒するファンクサウンド。細部までこだわりのあるアレンジがほどこされています。スティービー・ワンダーの魅力を存分に感じられる名曲です。
CHAI – N.E.O. |邦楽
現在の日本語音楽シーンにおいて、ファンクの影響を受けたバンドは多いです。CHAIの楽曲には、ベースを主体とした構成やファンクのノリの要素が顕著に感じられます。ファンクは長い歴史を持ち、広い範囲に影響を与えます。